情報化社会
自分が変わるということを認めないのが現代である。細胞は毎日生まれ変わるし、意識も変わる。名前を固定し始めたのは明治以降、最近の話である。
この人は変わるという事実を認めない文明を、情報化社会という。情報は変わらないからだ。今日撮った写真は明日も明後日も今日の私がそこにあるし、名前が変わって仕舞えば銀行から金を引き出すことすらできなくなる。
暗黙に私という変わらない存在をつくるから、自分探しやら自分らしさというバカなことが流行る。ITビジネスの到来はそうした主義思想の変化がもたらした結果である。
ところが世間はITがやってきたから情報化社会になったと思っているみたいで。そうではない、逆である。Googleが生まれてから調べるという行為が流行したのだ。調べる欲は存在していなかった。知る欲しかなかった筈である。
原因と結果が逆転しているのだが、それでも人は主義思想で生きる。ITを生み出したのは主義思想であり、それが暗黙か、明示かその違いがあるだけである。
そして、これすらも理解していただけないのが一般的だという事は承知している。